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「これからの「正義」の話をしよう」(M.サンデル) 読書メモ・レビュー


これからの「正義」の話をしよう ― いまを生き延びるための哲学 (マイケル・サンデル)

★★★★

[考察]
・哲学は、単なる屁理屈ではなく、現実社会に応用できるということを分かりやすく示している。
・自分の行動指針や、世の中のあり方などについて、「何が正しいか」を考える上で、今後、今までと少し違う思考回路で、より深く考えられるようになった気がする。
・ビジネスにも当てはまる面がある。企業での人事などの制度設計、契約や交渉などの進め方等に応用できそう。(取引先・顧客の権利の尊重、自社の利益の最大化、企業の社会的責任(CSR)のバランスなど。)
・興味深いのは、実力、才能、努力(する能力)さえも「運」による側面が強いのだから、成功者は利益を還元すべきという考え方。社会全体でもそうだが、企業内でも当てはまるだろう(報酬が多い者ほど、報酬以上の仕事をしろ、ということ)。
・著者は、自身でも認めるコミュニタリアンであり、著書の後半では、その主張が強く出てくる。しかし、その根拠の説明にはあまり納得できない。個人的には、リバタリアニズムを支持したい。コミュニティへとの関わり方自体も「個人の自由」ではないかと思うのだが…。
NHK『ハーバード白熱教室』で知られる、ハーバード大学の人気講義の書籍化。
※ 原書: "Justice: What's the Right Thing to Do?" (Michael Sandel)

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■ 読書メモ(備忘録・要旨):

1章: 正しいことをする

・被災地での便乗値上げは悪か?正常な市場でなく買い手に自由が無いことを考慮すべき。一方、増産を促すインセンティブになるため、値上げは認められるという考え方もある。
・正義の論点は、幸福、自由、美徳。

・米国金融危機での金融機関救済への批判は、強欲への報酬ではなく、失敗への報酬(納税者の負担)が許せないから。一方、経営者には制御不能だったとの見方もある。ただ、それなら、好景気時の業績も、彼らの実力ではなく経済状況の
おかげということになるため、報酬が多すぎという話になるが…。

・道徳的な難問への考察、現実的な状況と原則との乖離による混乱の分析などが、哲学への衝動となる。考察は、社会全体で取り組むべき。

2章: 最大幸福原理―功利主義

・功利主義=効用(幸福-不幸)の総和の最大化。
・相反するのは、個人の人権尊重。
・また、幸福の度合いは、共通の価値基準で計測可能なのか?(チェコのたばこ増税の話:喫煙者が多い方が早死にする人が多いため医療費負担が節約できてた。)
・功利主義は、命の値段の話になる。(例:フォードのガソリンタンク事件では、命は20万ドルのコストとされた。道路の制限速度を10マイル引き上げると、事故死者数が増えて、通勤時間短縮による便益がある。この場合、命の価値は154万ドル。)

・一方、自由・個人の権利の尊重は、短期的には、功利主義に反するかもしれないが、長期的には、多方面への影響を考慮すれば、効用の最大化につながるとの見方もある。

・質の高い快楽と質の低い快楽の区別。両方を経験した人が、どちらが価値が高いか判断できる。一方、質の低い快楽を望んでしまう傾向もある…。

3章: リバタリアニズム(自由至上主義)

・最少国家:パターナリズムの拒否(自傷的行為を行うものの保護の法律に反対)、道徳的法律の拒否(美徳の奨励に反対)、所得・富の再配分の拒否。
・参考文献:ハイエク「自由の条件」、フリードマン「資本主義と自由」

・自由の前提として、初期財産の公正、移転の公正があるべき。所得再配分の強制は、労働の成果・時間を奪うことに等しい。つまり自分自身を自分が所有している状態が奪われる。

・マイケル・ジョーダンへの高額課税への正当性について: ジョーダンは運が良いからその分課税すべきという考えには正当性があるかも。
・自己所有権の問題。自分は自分の物か。人身・臓器売買、幇助殺人は、正当化されるのか(自分の命を捨てるのも自分の権利と言えるのか)。

4章: 雇われ助っ人 ― 市場と倫理

・市場の利点:自由の尊重、幸福の促進。
・市場の限界:自由とは限らない、腐敗・倫理の問題が生じることがある。

・米国の南北戦争の徴兵制で、身代わりの募集が認められた(市場で身代わり兵を調達)。問題視されたが、通常の志願兵(国民が雇う身代わり兵)と本質的な違いはない。

・徴兵制、身代わり可の徴兵制、志願兵制の中では、功利主義・自由主義の双方の観点から、志願兵制が優れていると考えられる。(反論:他の選択肢がなく志願兵になる場合もある。実際、米国の兵は低所得層がほとんど。また、兵役は市民の義務・責任との見方もある。商品化してはならない。陪審員と同じ。)

・市場の論理で、外国人兵士を認めるか(フランスでは導入済み)。また、米国では、民間企業(ブラックウォーター社)に兵力を外注している。結局、民主主義社会での、市民の義務とは何か、という問題になる。

・代理出産は、リバタリアンと功利主義の観点からは、支持される。しかし反論として、瑕疵ある同意(代理出産する母が十分な情報を与えられていないなど)、赤ん坊・出産行為は売買の対象とすべきではないという議論がある。また、卵子の提供者と子宮の提供者が別に形態も出てきたため、状況が変わりつつある。インド西部のアナンドは、商業的な代理出産の集積地になりつつある。

5章: 重要なのは動機 ― イマヌエル・カント

・カント:「道徳形而上学原論」で、人格の尊重、人権を論じた。
・功利主義、美徳を認めず、「自由」を尊重したが、より厳格で崇高な自由に限られる。快楽・欲望に従う自由は、本当の自由ではない。

・カントの自律・自由は、目的を選択すること。
・「そうすることが正しいから」という、「義務の動機」が、道徳的価値を持つ。自律=自らに課した法則に従って行動する。その法則は「理性」に基づく。

・理性が意志を規定する方法:
仮言命法(条件付き・理性を道具にする)、
定言命法(無条件・理性と一致)。→ 定言命法の形態: 不変的法則(万人に当てはめても矛盾が生じない原則のみに従うこと)、人間性・人格を究極目的として扱うこと。

・自分を規定する観点:
感性界(物理学、生物学等の自然法則に基づく)、英知界(理性に基づく)。
英知界の観点からのみ、自由と見なせる。

・カントの思想の応用例:
1) 行きずりのセックスは、相手の人間性を尊重せず、性欲を満たすために相手をモノとして扱う行為のため、認められない。自分自身もモノとして扱ってはならない。売春も不可。
2) 殺人者に嘘をつくのも誤り。常に真実を言うべき。道徳法則に例外を設けるべきではない。「嘘」ではなく「真実だが誤解を招く表現」を使うのが良い。

・カントの政治論:公正な憲法は、仮想上の契約による(仮想的に、国民の総意にをもって立法した形)。

6章: 平等をめぐる議論 ― ジョン・ロールズ

・仮説的契約の2種類の原理:(1)基本的自由を全ての人に平等に与える (2) 所得・富の平等な分配。

・契約に同意があれば公正、とは限らない。公正さの基準が必要。
・同意に基づく義務と、利益に基づく義務、の区別の問題が出てくる。

・分配の正義:
封建制度:固定的階級、
自由主義:機会の形式的平等(自由市場、裕福な家に生まれるのが有利)、
実力主義:公平な機会均等(教育の機会均等も伴う)、
平等主義:ロールズの格差原理(天賦の才を全体の資産とみなし、才能が生み出した利益を分かち合う)
→ 格差原理では、努力のモチベーションが下がる懸念もあるが、努力自体も、家庭・社会環境に依存するとみなす。

7章: アファーマティブ・アクションをめぐる論争

・入学試験等で、多様性確保等の観点から、マイノリティの学生を優遇することは認められるか?
疑問1:実効性。マイノリティ学生の自尊心が傷つく。人種間の緊張が高まる。
疑問2:原理。本人の落ち度のない理由で落とされる。
→ しかし大学の社会的使命を定義して初めて合否判断の公平な基準が決まるはず。

8章: 誰が何に値するか ― アリストテレス

・アリストテレスの正義論:
1. 正義は「目的」にかかわる。物の正しい分配は、物の目的で決まる。
2. 正義は名誉にかかわる。

・アリストテレス:政治の目的は、善良な生活、善の促進。→道徳を発揮した人が最も高い名誉に値する。
・人間の本質:都市国家に住み、言語能力を使い、政治に参加すること。行動することが必要(美徳は、行動・習慣から生まれる)。

・アリストテレスは、奴隷制を肯定した(条件:必要とされ、「適性」のある人がいれば)。
・一方、リベラル派によれば、正義は、「適性」より「選択」にかかわる。

9章: たがいに負うものは何か? ― 忠誠のジレンマ

・国家は、歴史上の過ちを、公式に謝罪すべきか。
→過去の傷をふさぎ、道徳的・政治的な和解の基礎になる。金銭的補償は、その具体的表現として理にかなう。被害者・その子孫への不正の影響も軽減される効果がある。

・ただし、原理的に、先祖の罪を謝罪することはできないとの主張もある。
・道徳的個人主義:責任は(過去の人ではなく)自分が引き受けたものだけ。

・カント、ロールズは、アリストテレスの目的論を認めない。正しさは、善に優先する。選択の自由があるべき。

・行政府は、道徳的に中立(自由に価値観を選べる)であるべきか。
→ コミュニタリアンはこれを否定する。目的・責務を重視。

・マッキンタイア:自分のアイデンティティは、自分の属するコミュニティの物語に埋め込まれる。

・道徳的責任:
1. 自然的義務(普遍的、合意不要)
2. 自発的責務(個別的、合意要)
3. 連帯の責務(個別的、合意不要)→一定の歴史を共有する人間の責務。

・愛国心、移民の制限、「自国製品を買おう」の問題。
・愛国心の根拠、同胞の福利への責任があると考えるなら、連帯の責務を受け入れるべき。
・「忠誠」は、普遍的義務に勝ると言えるか。

・著者の主張:自由の構想には欠陥がある。

10章: 正義と共通善

・リベラルな中立性(ケネディが支持、オバマが拒否):
政治的主張は、個人的道徳・宗教的信念を排除すること。

・妊娠中絶、ES細胞(胚性幹細胞)の研究:胎児はいつ人になるかという道徳的・宗教的論議がある。
・同性婚を認めるか(結婚を、公的な承認の対象とせず、民間団体に承認を委ねる考え方もある)。結婚に選択の自由を認めると、一夫多妻制の正当化につながる。結婚の「目的」は、生殖か、独占的愛情関係か、という議論になる。

・著者の主張:
正義は、最大多数の最大幸福、選択の自由の尊重よりも、美徳の涵養と共通善を優先すべき。
共通善に基づく新たな政治:
1. 市民権、犠牲、奉仕(社会奉仕、ボランティア、公教育を推進)
2. 市場の道徳的限界(兵役・出産・教育等の社会的慣行への、市場の侵入の制限)
3. 不平等、連帯、市民道徳(不平等が拡大すると、連帯が失われる)
4. 道徳に関与する政治(道徳的・宗教的信念を避けず、議論すべき)
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[ 2011/09/04 20:07 ] [読書] 自己啓発 | TB (0) | Comment (0)

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Author:管理人 ■民間企業勤務(情報技術系)。米国から帰国後、首都圏在住。 ■趣味:海外旅行、読書(経済・ビジネス書、歴史小説、ミステリー)、スポーツ観戦(野球、サッカー、フィギュアスケート)、マスコミ批判。
―― 書評よりも、自分用のメモ・備忘録に重点を置きます。おすすめできる書籍が中心です。


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